Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しらふじ

白藤

豊島 与志雄

Lesen Sie 白藤 (しらふじ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.822 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

藤の葉でした。幹は無くなり、残ってる根本から、新らしい蔓を精一杯に伸ばしてるもののようでした。

それを見つめながら、保治は腕を組んで頭を垂れました。

あの眼覚めるような白藤の花と、それを軒先につけたひそやかな住居、それから、このひょろひょろした蔓と縮かんだ葉、両者の間には何の関連もなく、全く別な物でありました。

保治は長い間、眼前の藤蔓を見つめながら、胸中に育まれた心像に縋りついていました。しみじみと涙が眼の奥ににじんできました。その涙に気がつくと、彼は唇をかんで、眼前の藤蔓をむしり取りました。数本の蔓をむしり取ると、その根本の土を棒切れで掘り返して、根まで引き抜こうとしました。案外に大きな強い根が張っていました。それをすっかり引き抜かなければならない、惨めな姿で残しておいてはいけない、そういう思いで、両手を泥で汚しながら、藤の根を引き抜きました。引き抜いた根を地面に投げ捨てました。藤の根は幾本もありました。それを悉く引き抜きました。

額から汗が出てきました。泥の手でハンケチをつかんで、その汗を拭きました。そして彼は空を仰ぎました。

――俺は今、つまらぬ感傷に囚われているのであろうか。