Japanische Klassiker mit Furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme
わけても、そういう傾向が、妹娘の時江に著しかった。彼女は、自然を玩具の世界にして、その幻の中でのみ生きている女だった。それで、空気が暖かすぎても冷たすぎても、濃すぎても薄すぎても、病気になり……、たとえば黄昏時だが、始めのリラ色から紅に移ってゆく際に、夕陽のコロナに煽られている、周囲の団子雲を見ていると、いつとなく(私は揺する、感じる、私は揺する)の、甘い詩の橙が思い出されてきて、心に明るい燦爛が輝くのだ。けれども、やがて暗い黄に移り、雲が魚のような形で、南の方に棚引き出すと、時江はその方角から、ふと遣瀬ない郷愁を感じて、心が暗く沈んでしまうのだった。また朽樹の洞の蛞蝓を見ては、はっと顔を染めるような性欲感を覚えたり、時としては、一面にしばが生えた円い丘に陽の当る具合によっては、その複雑な陰影が、彼女の眼に幻影の市街を現わすことなどもあるが、わけても樹の葉の形には、むしろ病的と云えるほどに、鋭敏な感覚をもっていた。しかし、松風草の葉ようなものは、ちょうど心臓を逆さにして、またその二股になった所が、指みたいな形で左右に分れている。ところが、それを見ると、時江はハッと顔色を変えて、激しい呼吸を始め、その場に立ち竦んでしまうのであるが、それには、どんなに固く眼を瞑り、頭の中にもみ込んでしまおうとしても、結局その