Japanische Klassiker mit Furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme
それはさながら、魂と身体とに、不思議な繋がりがあるのではないかと思われたほど――言葉がそこまでくると、滝人の全身に、異様な感情の表出が現われた。そして、虻や黄金虫や――それまで彼女にたかっていた種々な虫どもが、いきなり顫いたようないっせいに、羽音を立てて、飛び去ってしまった。
「ところで、まず先立ってお話ししなければならないのは……、そうして現在の十四郎と、あの時の鵜飼の顔をかわるがわる思い泛べていると、いつかその二つが、重なり合ってしまうような、心理作用が私に現われたことです。それを、二重鏡玉像とかいうようで、よく折に触れて経験することですが、眼に涙が一杯に溜ると、そのために、美しいものでも歪んで見え、またこよなく醜いものが、端正な線や塊に化してしまうことがあるのです。現に、伊太利の十八世紀小説の中にですが、凸凹の鏡玉を透して癩患者を眺めたとき、それが窈窕たる美人に化したという話もあるとおりで……。また、忌隈という芝居の古譚などもございまして、一つの面明りで、ちがった隈取をした二つの顔を照らす場合には、よほど隈の形や、色を吟味しておかないと、えてして複視を起しやすい遠目の観客には、それが重なりあったとき、悪くすると、声でも立てられるような、不気味なものに見えるそうなのです。