Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろあり

白蟻

小栗 虫太郎

Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme

Aozora Bunko

私はそれを聴くと、もしやお嫂さま以外にも、兄の胸の中にある人がいるのではないかと考えられて、先刻も先刻、大兄の仕打ちがあまり酷いと思われたものですから、つい私、むらむらと口にしてしまったのです。ねえお嫂さま、もうこの谿間に来てしまった以上は、なんと云っても、遠い別世界の話なんでございますからね。どうか、お怒りにならないでくださいましな。もしかして兄の耳に、私のいらず口でも入った日には、ほんとうにそれこそ、私、どんな目に遇わされないとも限りませんわ。ねえ、それだけは固い約束をして、ねえお嫂さま」

と兄の粗暴な復讐を懼れて、時江はひたすら哀願するのだったが、なぜかその時は、いったん下りかけた滝人の頸が、中途でハタと止まってしまった。滝人はじっと眼を瞑じたまま、それなり動かなくなってしまったのである。生涯謎のままで終るかと思われていたあの疑惑にも、ついに解け去る時機が訪れてきた。今の時江の言葉を解釈してみると、十四郎――いや鵜飼邦太郎が、御霊所の中で鎮魂帰神などと称し、母の眼を見ながら対座しているということは、以前にも、信徒である限り必ずそうしたものである。