Japanische Klassiker mit Furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme
滝人は、そこに手燭を発見したので、ようやく仄暗い、黄ばんだ光が室内に漂いはじめた。しかし、滝人には、一つの懸念があって、明るくなるとすぐに、内陣の神鏡を一つ持ってきた。そして、机を二つばかり重ねて、その上に神鏡を据え、しきりと何かの高さを、計測しているようであったが、やがて不安げに頷くと、背後の祝詞文に明かりを向けた。そして、自分は神鏡の中を覗き込んだのだが、その瞬間、彼女の膝がガクリと落ちて、全身がワナワナ戦きだした。
その神鏡の位置というのは、常に行を行う際に、くらが占めている座席であり、かつまたその高さが彼女の眼の位置だとすれば、当然それと対座している十四郎との関係に、なにか滝人を、使嗾するものがあったに相違ない。事実、滝人はそれによって、今度こそは全然償う余地のない、絶望のまっただ中に叩き込まれてしまった。それが、滝人の疑惑に対して、じつに、最終の解答を応えたのである。それから滝人は、刻々血が失われていくような、真蒼な顔をしながら、その結論を、心の中の十四郎に云い聴かせはじめた。
「私は、自分の浅墓な悦びを考えると、じつに無限と云っていいくらい、胸の中が憐憫で一杯になってしまうのです。