Japanische Klassiker mit Furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme
催眠中の硬直がそのまま持ち越され、屍体は石のように固くなっていたが、顔には、静かな夢のような影が漂い、それは変死体とは思われぬ和やかさだった。そのぶらりと下った足を、滝人は振子のように振り動かして、やがて止まると、先刻振子を見た時の十四郎みたいに、身体をいきなりしゃちょこばらしたりして、しばらくの間、その物凄い遊戯を酔いしれたように繰返していた。が、やがて滝人は、例の病的な、神経的な揺すり方をして、肩でせかせか嗤いはじめた。
「これなんです。お前はこれでいいんですよ。そして、お前の下手人には喜惣が挙げられて、あのお母さまも、喜惣の手にかかったということで、結論がついてしまうのです。なんのことはない、泉を騒がす蛙を一匹、私が捻ってしまったまでのことだ。私は、どんなにか永いこと、あの泉の側に立って、そこに影を映しにくる。娘が現われるのを待っていたことでしょう。ところへ、お前がその畔で、荒い息遣いをしたり、飛び込んだりなどするものだから、いつも泉の面が波紋で乱れていて、きまって抱き寄せようとすると、あの娘の姿は消え失せてしまうのでした。だけど、とうとうこれで、夢から愕然と醒めるようなことはなくなってしまうだろう。