Japanische Klassiker mit Furigana
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さらやしき
皿屋敷
田中 貢太郎
Lesen Sie 皿屋敷 (さらやしき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.729 Zeichen · 4 Bildschirme
朋輩の婢達は遠くのほうからはらはらして見ているばかりでどうすることもできなかったが、お菊が空室の中へ入れられるとともに、皆でそっと往って介抱した。傷口をしばってやる者、水を汲んでやる者、食事を運んでやる者、それは哀れな女に対する心からの同情であったが、お菊は水も飲まなければ食事もしないで死んだ人のようになって考え込んでいた。
そのお菊は数日して姿を消してしまった。主膳はお菊が逃げたと思ったので、酷く怒って部下の与力同心を走らせて探さした。主膳はその時火付盗賊改め方をしていたのであった。しかし、お菊の行方は判らなかった。そのうちに家の者の一人が裏の古井戸の傍から、お菊の履いていた草履を見つけて持って来た。主膳は結局己の手で殺生しないですんだことを喜んで、公儀へはお菊が病死したことにして届け出た。
哀れな女はそうして主膳の家から存在を消してそのままになったが、その年の五月になって奥方が男の子を生んだところが、右の中指が一本無かった。奥方はそれを見るとお菊の指のことを思い出して血があがった。そして、その夜からその産処の屋根の棟に夜よる女の声がした。また、古井戸の辺では、「一つ、二つ、三つ」