Japanische Klassiker mit Furigana
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もうもくものがたり
盲目物語
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 盲目物語 (もうもくものがたり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.341 Zeichen · 148 Bildschirme
おもえば/\ちょうろけんどのはよくも見込んでくだされしよな、あるにかいなきいのちをながらえていたというのもこういうお役にたてたいからだ、このうえはおくがたをおすくい申す手だてをつくして、かなわぬときはおなじけぶりときえるばかりだと、とっさにしあんをさだめまして、前後のわきまえもなく三味せんを取り上げ、
見せばや
君に
知らせばや
こゝろの中と
袖の色を
とうたいながら、わなゝくゆびさきに糸をおさえて、
けぶりをあいづに
てんしゆのしたえおこしなされませ
と、こちらも合いの手にことよせまして、「いろは」の音をもっておこたえ申したのでござります。もちろんいちざのかた/″\はたゞわたくしのうたといとゝにきゝほれてばかりおいでなされ、ふたりのあいだにこんなことばがかわされたとは知るよしもござりませなんだが、そのときわたくしはおくがたをおすくい申すについて、一つのけいりゃくをおもいついたのでござりました。と申しますのは、こよいとのさま御夫婦は天守の五重へおのぼりなされてこゝろしずかに御自害あそばし、それより用意の枯れ草へ火をつける手はずになっておりました。されば御自害をあそばすまえに、ころあいをうかゞって火をつけまして、そのさわぎにまぎれて朝露軒どのゝ一味をひきいれましたなら、にんずをもっておふたかたのあいだをへだてる