Japanische Klassiker mit Furigana
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もうもくものがたり
盲目物語
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 盲目物語 (もうもくものがたり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.341 Zeichen · 148 Bildschirme
おだにのあたりをおとおりになるではござりませんか。けれどもこのまえはえいろく十一ねん辰どしの春だったそうでござりますが、こんどはそれより十五六ねんのとしつきをすぎ、秋とはいいながらもう北国はふゆの季節でござります。まして夜中にあわたゞしい御しゅったつでござりましたから、なんの花やかなこともなく、中にはまた、ひでよし公のぐんぜいが途中でおくがたをいけどりに来るなどゝ、あらぬうわさにまどわされておさわぎになるお女中がたもおられました。のみならず道中のなんじゅうなことゝ申したら、おりあしくいぶきおろしがはげしく吹きつけ、すゝむにしたがってさむさがきびしく、木の本柳ヶ瀬あたりよりみぞれまじりのあめさえふってまいりけんそな山路に人馬のいきもこおるばかりでござりまして、ひめぎみたちや上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)がたのおこゝろぼそさはさぞかしとさっせられました。わたくしなども旅にはわけて不自由な身でござりますからつらさはひとしおでござりましたが、しかしそんなことよりは、このさむぞらに山また山をおこえなされて見もしらぬ