Japanische Klassiker mit Furigana
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まゆかくしのれい
眉かくしの霊
泉 鏡花
Lesen Sie 眉かくしの霊 (まゆかくしのれい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.284 Zeichen · 51 Bildschirme
だけ炬燵に入れて、少し仰向くようにして、旅商人と話をしている。
なつかしい浮世の状を、山の崖から掘り出して、旅宿に嵌めたように見えた。
座敷は熊の皮である。境は、ふと奥山へ棄てられたように、里心が着いた。
一昨日松本で城を見て、天守に上って、その五層めの朝霜の高層に立って、ぞっとしたような、雲に連なる、山々のひしと再び窓に来て、身に迫るのを覚えもした。バスケットに、等閑に絡めたままの、城あとの崩れ堀の苔むす石垣を這って枯れ残った小さな蔦の紅の、鶫の血のしたたるごときのを見るにつけても。……急に寂しい。――「お米さん、下階に座敷はあるまいか。――炬燵に入ってぐっすりと寝たいんだ。」
二階の部屋々々は、時ならず商人衆の出入りがあるからと、望むところの下座敷、おも屋から、土間を長々と板を渡って離れ座敷のような十畳へ導かれたのであった。
肱掛窓の外が、すぐ庭で、池がある。
白雪の飛ぶ中に、緋鯉の背、真鯉の鰭の紫は美しい。梅も松もあしらったが、大方は樫槻の大木である。朴の樹の二抱えばかりなのさえすっくと立つ。が、いずれも葉を振るって、素裸の山神のごとき装いだったことは言うまでもない。