Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちちぶきこう
知々夫紀行
幸田 露伴
Lesen Sie 知々夫紀行 (ちちぶきこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.784 Zeichen · 31 Bildschirme
急ぎて先ず社務所に至り宿仮らん由を乞えば、袴つけたる男我らを誘いて楼上に導き、幅一間余もある長々しき廊を勾に折れて、何番とかやいう畳十ひらも敷くべき一室に入らしめたり。
あたりのさまを見るに我らが居れる一ト棟は、むかし観音院といいし頃より参詣のものを宿らしめんため建てたると覚しく、あたかも廻廊というものを二階建にしたる如く、折りまがりたる一トつづきのいと大なる建物にて、室の数はおおよそ四十もあるべし。一つの堂を中にし、庭を隔てて対いの楼上の燈を見るに、折から霧濃く立迷いたれば、海に泊まれる船の燈を陸より遥に望むが如し。此処は水乏しくして南の方の澗に下る八町ならでは得る由なしと聞けるに、湯殿に入りて見れば浴槽の大さなど賑える市の宿屋も及ばざる程にて、心地好きこと思いのほかなり。参詣のものを除きここの人々のみにて百人に近しといえば、まことに然もあるべきことなるが、水をば今は新らしき装置もて絶ゆる間なく汲み上ぐるという。
夜の食を済ませて後、為すこともなければ携えたる地理の書を読みかえすに、『武甲山蔵王権現縁起』というものを挙げたるその中に、六十一代朱雀天皇天慶七年秩父別当武光同其子七郎武綱云々という文見え、また天慶七年武光奏し奉りて勅を蒙り五条天皇(疑わし)少彦名命を蔵王権現の宮に合せ祀りて云々と見えたり。