Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちぶきこう
知々夫紀行
幸田 露伴
Lesen Sie 知々夫紀行 (ちちぶきこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.784 Zeichen · 31 Bildschirme
今は汽車の便ありて深谷より寄居に至る方、熊谷より寄居に至るよりもやや近ければ、深谷まで汽車にて行き越し、そこより馬車の便りを仮りて寄居に至り、中仙道通りの路に合する路を人の取ることも少からずと聞く。同じ汽車にて本庄まで行き、それより児玉町を経て秩父に入る一路は児玉郡よりするものにて、東京より行かんにははなはだしく迂なるが如くなれども、馬車の接続など便よければこの路を取る人も少からず。上州の新町にて汽車を下り、藤岡より鬼石にかかり、渡良瀬川を渡りて秩父に入るの一路もまた小径にあらざれど、東京よりせんにはあまりに迂遠かるべし。我野、川越、熊谷、深谷、本庄、新町以上合せて六路の中、熊谷よりする路こそ大方は荒川に沿いたれば、我らが住家のほとりを流るる川の水上と思うにつけて興も多かるべけれと択び定め来しが、今この岐路にしるべの碑のいと大きなるが立てられたるを見ては、あるが中にも正しき大路を取りたるかとおぼえて心嬉し。
広瀬、大麻生、明戸などいえる村々が稲田桑圃の間を過ぎて行くうち、日はやや傾きて雨持つ雲のむずかしげに片曇りせる天のさま、そぞろに人をして暑さを厭う暇もなく心忙しく進ましむ。