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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちとうたがい

知と疑い

寺田 寅彦

Lesen Sie 知と疑い (ちとうたがい) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.124 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

すでに境界線に立って線外の自然をつかまんとするものは、いたずらに目をふさいで迷想するだけではだめである。目を開いて自然その物を凝視しなければならぬ。これを手に取って右転左転して見なければならぬ。そうして大いに疑わねばならぬ。この際にただ注意すべき事は色めがねをかけて見ない事である。自分が色めがねをかけているかいないかを確かめるためには、さらに翻って既知の自然を省みまた大いに疑わなければならぬ事はもちろんである。

疑わぬ人ははなはだ多い。欠レ知のはなはだしきものでまた無知のはなはだしきものである。雨の降る日は天気が悪いというのは事実である、雨が降って天気のよい日のある事を知る人の少ないゆえんである。一に一加えて二となるはあたりまえである。それだから一に一加えて二にならぬ事を知る人が少ない。

ある老人に液体空気の事を語る。老人いわく「空気が水になるのは何も珍しい事はない。夏コップに井水を盛れば器外に点滴のつくのはすなわちそれではないか」と。

疑う人におよそ二種ある。先人の知識を追究してその末を疑うものは人知の精をきわめ微を尽くす人である。

何人も疑う所のない点を疑う人は知識界に一時機を画する人である。