Japanische Klassiker mit Furigana
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いしだんにてっかん
石段に鉄管
小川 未明
Lesen Sie 石段に鉄管 (いしだんにてっかん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.584 Zeichen · 6 Bildschirme
」
哀れな母親は、二人の子供を見まわしていいました。そこで母親を真ん中にして、兄は左に、弟は彼女の右に腰をかけたのであります。
みすぼらしい着物は、ほこりにまみれていました。秋の晩方の空気は、ひやひやとして肌に迫り、木立の葉は色づきはじめて、日は、林のあちらに落ちかかっていました。三人の前には、さびれていく田園の景色がしみじみとながめられたのです。年上の子供は、黒い瞳をこらして、遠方をじっと物思わしげに見つめていました。どんなことを頭の中に考えていたでしょう? 弟のほうは、母親の体によりかかって、これとて無心でいました。日が暗くなった時分に、どうするかということも……、また今夜は、どんなところに宿るだろうということも、また、もうすこしたてば、いまそれほどに感じていないひもじさを訴えなければならぬということも知らぬげにみられました。けれど、哀れな母親には、とっくにそれがわかっていて、こうして休んでいる瞬間にも、胸を苦しめているのでありました。
この三人は、石段の下から二、三段上のところに並んで腰をけていましたが、その前をいく人通りもまれとなったのです。