Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
どこかですすり泣きの声が洩れ、するとまた別なところで、噛みころすような嗚咽が聞えた。
人々に向きなおった邦夷の顔にはどこかうす黒い隈がただよっているように思われた。人々は俯向いて道をあけた。拝礼のときおのずから出来た順序にしたがって、彼らもその跡につづこうとした。しかし、世話役どものさしずのようには動けないのだ。街道に出た邦夷らは、再三立ちどまって待っていた。それに言い訳けするように、世話人は道を急がせた。
彼らはねじり廻すように縺れあってのろくさと歩いていた。そしてながい隊伍をつくった。殿りには荷を積んだ車があった。駄馬は尻を揺ぶって重い荷を牽きだした。
この土に生れて育った容易ならぬ深い根を、今やしゃにむに抜き取ろうとしている。みずから抜けて出ようとして、枝根やひげ根に邪魔されている。連亙する奥羽山脈の峰々がなだれ落ちたこの麓の土地一帯に、そこに埋めた数百年の思いを一ぺんにふり切ろうとしていたのだ。ようやく乾いた春先の道を、草鞋や草履に踏みつけて長い列をつくって歩こうとしている。路傍では村々の子供が駈けだして来てこの行列を珍しげに眺めた。その子供らのうしろでは、庭の日だまりに紅梅が咲き出していた。