Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
運用方や機関方の士官、火夫、水夫、船夫らが船体の修理に応急の処置を取っている間に、事務係りの会計方は乗客の安全をはからねばならぬ。すると、彼らに取って、人家のあるこの小さな港は、救いの神でもあった。陸地によった港近くの坐礁は、まず、不幸中の幸いと言わねばなるまいと思った。名だたる荒海にようやく漕ぎだした瞬間である。これからの航路が難物になるときでもある。三陸沿岸から津軽の海、それからまだ海図も明らかになっていない西蝦夷の海。それらの大洋に乗りだして起った故障であったならば、本船もろとも木ッぱみじんであったかも知れない。何がなしに、先ず助かったと思うのである。
「それにしても不人情な」と、更に他の一人が憤ろしく云った。
陸には人の気配がないのである。港の家々は宵闇のなかにまッ黒く沈んでいた。そして、水をたたく櫂の音が反響するほどひそまりかえった。
こめかみの疼くなるような不安が人々の顔にみなぎった。
ボートは波止場に着いた。
まッ先に跳びあがった役人たちが、手近な家からそこの戸を順々にたたいた。幾らかやけになると、猛烈になぐりつけた。板戸の音は次々に空しく、はじけるように谺していた。