Japanische Klassiker mit Furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
一日二日、当面のしのぎに――と、食いなれないサイゴン米を噛んでいた。そのときここでは一俵一円と称している。
「売り値は幾らか」
阿賀妻は詰るようにそう云った。うっかりしていると、ぬッと頭をもたげる昔の切り口上であった。厳然と睨みつけていた。
店番の男はその語気におどろいてむっくり起きあがった。
「へえ――売り値と申しませば?」と彼は阿賀妻を見あげ見おろした。
「どうして左様な値が出るのだ?」
「米がありすぎて酒が足りないでございますな、だんな」
「それはどういうことじゃ」
「じゃアだんなは官員じゃねえんですな、官員さんは米を持て余していましてね」
「なぜ持て余す?」
「先ず――俸禄が多すぎるんでしょう、結構なこってすよ」
「左様か――そこの手拭いを貰おう」
店番の男はそこから動かなかった。煙草を吸いつけて云うのである。
「どんな色だね?」
「白地にいたそう」
「そこに積んであるのを取りねえ」
阿賀妻は云われる通りに白地の手拭いを一本抜きとって一両の太政官札を投げ出した。
「これで――釣をいただきたい」
「なに? 釣? 釣はありゃせんぜ」
そう云って、煙管をぽんと叩いて彼ははじめて立って来た。