Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのじょうねつ
砂漠の情熱
豊島 与志雄
Lesen Sie 砂漠の情熱 (さばくのじょうねつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.132 Zeichen · 7 Bildschirme
こういうのを指して、砂漠の情熱と云ってはいけないであろうか。――彼の精神のなかには、空高く翔ける猛鳥はおろか、一羽の小鳥さえいないし、馥郁たる濃艶な花はおろか、一茎の野草の花さえ咲かさないのであって、謂わば不毛の地、砂漠にも等しいのである。而もそれ自身のなかに、やむにやまれぬ欲望、冷血動物的な情熱、凡そ人間的な欲望とか情熱とかには縁遠いそれを持っているのである。
連想は飛ぶが、夏の真昼、熱くやけた石の上に、亀が甲羅を干してるのは普通のことである。それは亀の習性であり、はがゆいような愛嬌がないでもない。また、日のあたった石垣の上などに、蜊蜴がじっと蹲まって、そのぎらぎらした色彩で息づいてる事がある。それもまあよかろう。――更に、ふだんは木蔭にでも潜んでいる筈の蛇が、草と土の匂いがむーっと漂ってる場所に、日光の直射を受けながら、とぐろを巻いてることが時折ある。その、草と土の匂いの中で日光に照らされてる蛇のうちには、如何なる夢想がはぐくまれることであろうか。その夢想が情熱にまで熱せられる時には、如何なるものとなるであろうか。
私は蛇は嫌いではない。だがフーシェは嫌いだ。