Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくはい

祝盃

菊池 寛

Lesen Sie 祝盃 (しゅくはい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.843 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

三人は、また黙って歩いた。一高時代の回想談などは、今の三人の顔触れでは、どれもこれも皮肉になるので、啓吉も久野も話し出さなかった。

それよりも、啓吉は今もっと、話したいことは今度B社から出ることに定まった自分の第一の創作集のことだった。昨日話が定まって以来、自分だけの胸に、蔵って置くのには、あまりに嬉し過ぎることだった。第一の創作集が、世に出るときの嬉しさは、そうした経験のある人でなければ、分らないことであるが。

「僕の本ね。到頭定まったよ。B社から出すことにしちゃった。」

到頭啓吉は、小声で久野にいった。さっきから、話題に困っていたらしい久野は、解放されたように、それに応じた。

「うむ! B社から、それはいゝね。幾ら刷るのだ。」

「二千五百部。」

「そうだろう。僕のも同じだった。装幀はやっぱり右田茂かい。あっさりしていゝね。」

「校正は、自分でやらなきゃいけないのかね。」

「B社なら、初校さえ見て置けば、再校は向うで見て呉れるよ。」

B社からもう二三度、本を出したことのある久野は、先輩ぶっていった。

啓吉は、こうした話が、どんな結果を青木の心に与えているかということが、分り切っていながら、やっぱり止められなかった。