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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

二十八

だがそれにしても桔梗様は、誰に誘拐されたのだろう? どこへ運ばれて行ったのだろう? 隅田のご前というような、あんな立派な人物によって、城廓めいた宏大な屋敷に、秘蔵されていた桔梗様だのに、どんな手段で誘拐されたのだろう?

そうして一式小一郎は、はたして駕籠へ追い付いて、取り返すことが出来るだろうか?

今、月夜の東海道は、人通りがなくて静かである。

と、その時江戸の方から、一つの掛け声が聞こえて来た。「エッサ、エッサ、エッサ、エッサ!」――だんだんそれが近付いて来る。と、間もなく月光に浮かび、畸型な群像が現われた。屈竟な六人の若者が、体をピッタリくっつけ合わせ、六本の腕を組み合わせ、巧みに作った「手組輿」――その上へ一人の女を乗せ、空いている片手で調子を取り、舞うように走って来るのであった。七福神と称されて当時の旗本や大名などに、非常に恐れられた怪盗である。彼らの掛けるエッサの声が、水上であれ陸上であれ、一旦掠めて通った後には、犠牲者が出来たという事である。だが決して細民や、女子供など襲ったことはなく、衣裳だの宝物だの器具調度だの、そんな物を盗んだこともなく、黄金か武器か弾薬かを、唯一に盗んだということである。