Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
顫え声で呟いたものである。
と、すぐに声がした。「錬金部屋でございます。女方術師蝦蟇夫人、その本名は冷泉華子、その人の部屋でございます。……所は海岸、芹沢の郷、……江戸の中ではございません。……建てたお方は一ツ橋様! そうしてあなた様は囚人で、逃げようとなされても逃げられません。……そうして妾こそその華子なので。でも恐れるには及びません。無益に危害は加えません。……で、お答えなさりませ、これから妾のお訊きすることに!」
彫像が物を云ったのである。
三十二
釜の横に立っていた女の彫像、それが物を云ったのである。いやいや彫像ではなかったのであった。蝦蟇夫人事華子なのであった。
桔梗様が気絶から蘇甦るのを、それまで待っていたのらしい。
と、華子は一足出た。閉じていた眼が見開かれている。結んでいた口が綻びている。眼には針のような光がある。捲くれた唇から見える歯にも、刺すような冷たい光がある。
と、リーンと音がした。手に持っていた黄金の杖を、石畳の床へ突いたのである。
「昆虫館主のお嬢様の、桔梗様へお訊ね致します。雌雄二匹の永生の蝶の、その一匹は手に入れました、さようでございます、この華子が! もう一匹の蝶のありかを、さあさあお教えなさりませ」