Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
こいつを聞いた小一郎が、驚きと興味とを感じたのは、説明するにも及ぶまい。膝を進めて訊いたものである。
「で、お父様、昆虫館は、どの辺にあるのでございましょう」
「云ったではないか、江戸を中心に、五十里以内の所にあると」
「確かなあり場所は解りませんので?」
「そうだよ、解っていないそうだ」
「鉄拐夫人が方術師なら、方術を用いて昆虫館のあり場所、すぐにも探し出してよさそうなもので」
「だからよ、彼奴め、贋方術師さ」ここで清左衛門は眉をひそめたが、「もっとも彼奴め、こんなことを云ったよ。『半島にして樹木森々、大地あって土地高燥、これ永生の蝶に適す』とな。アッハッハッハッ何を云うやら」
「昆虫館の持ち主は?」
「昆虫学者の老人だそうだ」
「美しい涼しい声を持った、娘と一緒ではございませんかな」
「え?」と清左衛門は眼を円くした。
「いえ何これはこっちの方の話で」こうはごまかしたが小一郎は、心の中では考えた。「不思議だな、随分不思議だ。小梅田圃でも永生の蝶! 家へ帰っても永生の蝶! あっちでもこっちでも昆虫館! 待てよ」と一層沈思した。「小梅で聞いた二つの声、その中一つは老人の声で、神々しいほどにも威厳があった。