Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
円錐形の外廓を持ち、鶴の翼を想わせるような、勾配の烈しい屋根を持った、全く独立した建物であった。その外廓は朱塗りである。屋根の瓦は緑である。月が瓦を照らしている。木洩れの月光が外廓の、諸所へ銀の斑を置いている。全体がきわめて神秘的である。グルリと欄干が取り廻わしてある。その欄干も朱塗りである。「入口はないか? 入口はないか?」松代は欄干を飛び越した。そこは廻廊である。建物について廻廊を、松代はグルリと一周した。入口だろう口があり、錦の帳が掲げられ、掲げられた隙から紫陽花色の、燈火の光が射していた。「しめた!」と呟いた弁天松代は、一躍すると駈け込んだが、
「おっ、これは!」と立ち縮んだ。
巨大な火炉が燃えている。その上に大釜が懸かっている。朦朦と湯気が立っている。プ――ンと異臭が鼻を刺劇く。その傍に黒々と、道服を纒った女がいる。左手に持ったは黄金の杖で、そうして右手に抱えたは、死んでいるのか気絶しているのか、両眼を瞑ってグッタリと、延びている乙女の体である。女のくせに何んと大力、道服の女――冷泉華子は、抱えた乙女を――桔梗様を、グ――ッと上へ差し上げた。