Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

「こんなに辺鄙な関宿などへ、ああも沢山の侍が、入り込んで来るとは只事でない。可笑しいなあ」と呟いたが、物蔭へ隠れて窺った。

それとも知らぬか侍達は、ガヤガヤ話しながら通り過ぎる。

「まずともかくも森林へな! 昆虫館があるかも知れぬ」こう云ったのは頬髯のある武士で、「なかったら今度は伊豆の方へ行こう」

「いわば我々は先乗りで、探りさえすればいいというものさ」こう云ったのは段鼻の武士。

「永生の蝶! 永生の蝶! はたしてそんな物ありましょうかな」こう云ったのは赤痣のある武士。

「昆虫館も永生の蝶も、拙者には用はござらぬよ。小梅田圃で耳にした、美しい涼しい声の主、それに是非とも巡り会いたいもので」

こう云ったのは誰あろう、恋仇南部集五郎であった。

タッタッと森林の方へ行ってしまった。

物蔭から出た小一郎は仰天せざるを得なかった。

「一ツ橋家の武士どもだな! 一ツ橋殿の命を受け、昆虫館を探しあてようと、さてこそやって来たらしい。……憎いは南部集五郎だ、またもや俺の恋仇となった。あの時耳にした声の主を、昆虫館の関係者と、彼奴も目星を付けたらしい。……これはこうしてはいられない。