Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
好奇心ばかり強くてな。そうしてそいつの満足のためには、他人の迷惑など何んとも思わない」
「参りましょうよ、お部屋へね」
で、二人とも岩を巡り、奥の方へ姿を消してしまった。
トコトコトコトコと泉の音が、微妙な音楽を奏している。小鳥の啼音が聞こえて来る。冬陽が明るく射している。静かで清らかで平和である。
だがこの平和を乱すべく、大乱闘の行われたのは、それから間もなくのことであった。
九
木精の森を踏み分け踏み分け、一式小一郎は歩いている。
「一ツ橋家の武士達より、どうともして先に昆虫館を、目付け出さなければ意地が立たない。だがどうにも歩きにくいなあ」
喬木がすくすくと聳えている。枝葉が空を蔽うている。昼だというのに陽が射さない。四方が宵のように薄暗い、灌木や蔓草が茂っている。それが歩く足を攫おうとする。巨大な仆れ木が横仆わり、それがやっぱり足を止める。丘のような大岩が転がっている。所々に古池がある。突然飛び出したものがある。純白の兎の群である。サラサラと枝を渡るものがある。幾匹かの野生の猿である。カーッ、カーッと啼くものがある。鳥のようでもあれば獣のようでもある。