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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

どうせ浮世は思うようにはならない。したい三昧をするがいいさ。……だがどうも俺はこの頃になって、少し性質が変わったようだ。桔梗様に失恋したからだろう」

物憂い初夏の日が続こうとした。

しかしとうとうある夜のこと、またも小一郎は敵に襲われ、大事な獲物を失った代わりに、より大切の素晴らしい宝を、偶然手に入れることが出来た。

その夜であるが小一郎は、フラリとばかり家を出た。円々としたよい月夜で家々の屋根も往来も、霜が降りたように蒼白い。

大川を左に家並を右に、歩いて来た所が尾上河岸、別にこれと云って用もなく、明月に誘われて出たのである。と、にわかに足を止め、じっと行手を透かして見た。

二十三

黒装束で身を固めた、見覚えのある武士が一人、家の蔭から現われて、行手を遮ったからである。

「一式氏」とその武士が云った。すたわち南部集五郎であった。

「また逢いましたな、これで三度目」

「南部氏か」と小一郎は、素早く四辺を見廻わしたが、「貴殿一人ではあるまいな」

「さようさ」と云ったが集五郎は、とぼけたような調子となった。

「今のところは拙者一人で」

「三度逢ったと云われたが、拙者を襲ったのは五度目でござろう」