Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
道場の方からポンポンと、竹刀の音が聞こえて来る。弟子達が稽古をしているのであろう。
お勝手の方からコチンコチンと、器物のぶつかる音がする。君江が洗い物をしているのであろう。
「気の毒なものだな、あの君江は」小一郎はふっと呟いた。
「俺は逢ったのだ、桔梗様に。本当の本当の恋人に。で、君江は正直に云えば、俺には不用の人間になった。邪魔な人間になったともいえる。……がそれはそれとして、全く昨夜は意外だったよ。南部に襲われ蝶を逃がし、大川の中へ転がり落ち、負け籤ばっかり引いたかと思うと、今度は恋人の桔梗様と逢う。塞翁が馬っていうやつさな」微笑したいような気持ちになった。「それにさ随分変な人間に、一時に紹介されたものさ。隅田のご前という凄いような人物や、七人の異様な無頼漢達に。……屋敷の構造も変なものであった。……悪人の住家ではあるまいかな? あんな所へ桔梗様を置いて、はたして安全が保たれるかな?」これが小一郎には不安であった。だがしかしすぐに打ち消してしまった。「葵の紋服を召していた。では隅田のご前という人物は、高貴な身分に相違ない。それから桔梗様がその人を、叔父様叔父様と呼んでいた。