Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
……
我が手で、鉄砲でうった女の死骸を、雪を掻いて膚におぶった、そ、その心持というものは、紅蓮大紅蓮の土壇とも、八寒地獄の磔柱とも、譬えように口も利けぬ。ただ吹雪に怪飛んで、亡者のごとく、ふらふらと内へ戻ると、媼巫女は、台所の筵敷に居敷り、出刃庖丁をドギドギと研いでいて、納戸の炉に火が燃えて、破鍋のかかったのが、阿鼻とも焦熱とも凄じい。……「さ、さ、帯を解け、しての、死骸を俎の上へ、」というが、石でも銅でもない。台所の俎で。……媼の形相は、絵に描いた安達ヶ原と思うのに、頸には、狼の牙やら、狐の目やら、鼬の足やら、つなぎ合せた長数珠に三重に捲きながらの指図でござった。
……不思議というは、青い腰も血の胸も、死骸はすっくり俎の上へ納って、首だけが土間へがっくりと垂れる。めったに使ったことのない、大俵の炭をぶちまけたように髻が砕けて、黒髪が散りかかる雪に敷いた。媼が伸上り、じろりと視て、「天人のような婦やな、羽衣を剥け、剥け。」と言う。襟も袖も引きる、と白い優しい肩から脇の下まで仰向けに露われ、乳へ膝を折上げて、くくられたように、踵を空へ屈めた姿で、柔にすくんでいる。