Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
鳥博士のは凍傷と聞いたが、結果はおなじい。
鼻をそがれて、顔の真中へ舌が出たのでは、二度と東京が見られない。第一汽車に乗せなかろう。
草生の坂を上る時は、日中三時さがり、やや暑さを覚えながら、幾度も単衣の襟を正した。
銑吉は、寺を出る時、羽織を、観世音の御堂に脱いで、着流しで扇を持った。この形は、さんげ、さんげ、金剛杖で、お山に昇る力もなく、登山靴で、嶽を征服するとかいう偉さもない。明神の青葉の砦へ、見すぼらしく降参をするに似た。が、謹んでその方が無事でいい。
石段もところどころ崩れ損じた、控綱の欲いほど急ではないが、段の数は、累々と畳まって、半身を、夏の雲に抽いた、と思うほど、聳えていた。
ここに、思掛けなかったのは――不断ほとんど詣ずるもののない、無人の境だと聞いただけに、蛇類のおそれ、雑草が伸茂って、道を蔽うていそうだったのが、敷石が一筋、すっと正面の階段まで、常磐樹の落葉さえ、五枚六枚数うるばかり、草を靡かして滑かに通った事であった。
やがて近づく、御手洗の水は乾いたが、雪の白山の、故郷の、氏神を念じて、御堂の姫の影を幻に描いた。
すぐその御手洗の傍に、三抱ほどなる大榎の枝が茂って、檜皮葺の屋根を、森々と暗いまで緑に包んだ、棟の鰹木を見れば、紛うべくもない女神である。