Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
髪が髢のごとくさらさらと揺れた。その立って、踏みぐくめつつも乱れた裾に、細く白々と鳥の羽のような軽い白足袋の爪尖が震えたが、半身を扉に持たせ、半ばを取縋って、柄を高くついた、その薙刀が倒で……刃尖が爪先を切ろうとしている。
戦は、銑吉が勝らしい。由来いかなる戦史、軍記にも、薙刀を倒についた方は負である。同時に、その刃尖が肉を削り、鮮血が踵を染めて伝わりそうで、見る目も危い。
青い蝉が、かなかなのような調子はずれの声を、
「貴女、貴女、誰方にしましても、何事にしましても、危い、それは危い。怪我をします。怪我をします。気をおつけなさらないと。」
髪を分けた頬を白く、手首とともに、一層扉に押当てて、
「あああ」
とやさしい、うら若い、あどけないほどの、うけこたえとまでもない溜息を深くすると、
「小県さん――」
冴えて、澄み、すこし掠れた細い声。が、これには銑吉が幹の支えを失って、手をはずして落ちようとした。堂の縁の女でなく、大榎の梢から化鳥が呼んだように聞えたのである。
「……小県さん、ほんとうの小県さんですか。」
この場合、声はまた心持涸れたようだが、やっぱり澄んで、はっきりした。