Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
その半ばを持ったまま、居処をかえて、小県は、樹の高根に腰を掛けた。
「言いますわ、私……ですが、あなたは、あなたは、どうして、ここへ……」
「おたずね、ごもっともです。――少し気取るようだけれど、ちょっと柄にない松島見物という不了簡を起して……その帰り道なんです。――先祖の墓参りというと殊勝ですが、それなら、行きみちにすべき筈です。関屋まで来ると、ふと、この片原の在所の寺、西明寺ですね。あすこに先祖の墓のある事を、子供のうち、爺さん、祖母さんに聞いていたのを思出しました。勿体ないが、ろくに名も知らない人たちです。
墓は、草に埋まって皆分りません、一家遠国へ流転のうちに、無縁同然なんですから、寺もまた荒れていますしね。住職も留守で、過去帳も見られないし、その寺へ帰るのを待つ間に――しかし、そればかりではありません。
――片原の町から寺へ来る途中、田畝畷の道端に、お中食処の看板が、屋根、廂ぐるみ、朽倒れに潰れていて、清い小流の前に、思いがけない緋牡丹が、」
お誓は、おくれ毛を靡かし、顔を上げる。
「その花の影、水岸に、白鷺が一羽居て、それが、斑――人を殺す大毒虫――みちおしえ、というんですがね、引啣えて、この森の空へ飛んだんです。