Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
抽斗にしまって封をすれば、仏様の情を仇の女の邪念で、蛇、蛭に、のびちぢみ、ちぎれて、蜘蛛になるかも知れない。やり場がなかったんですのに、導びきと一所に、お諭しなんです。小県さん。あの沼は、真中が渦を巻いて底知れず水を巻込むんですって、爺さんに聞いています……」
と、銑吉の袂の端を確と取った。
「行く道が分っていますか。」
「ええ、身を投げようと、……二度も、三度も。」――
欄干の折れた西の縁の出端から、袖形に地の靡く、向うの末の、雑樹茂り、葎蔽い、ほとんど国を一重隔てた昔話の音せぬ滝のようなのを、猶予らわず潜る時から、お誓が先に立った。おもいのほか、外は細い路が畝って通った。が、小県はほとんど山姫に半ばを誘わるる思いがした。ことさらにあとへ退ったのではない、もう二三尺と思いつつ、お誓の、草がくれに、いつもその半身、縞絹に黒髪した遁水のごとき姿を追ったからである。
沼は、不忍の池を、その半にしたと思えば可い。ただ周囲に蓊鬱として、樹が茂って暗い。
森をくぐって、青い姿見が蘆間に映った時である。
汀の、斜向うへ――巨な赤い蛇が顕われた。蘆萱を引伏せて、鎌首を挙げたのは、真赤なヘルメット帽である。