Japanische Klassiker mit Furigana
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まつりのよる
祭りの夜
豊島 与志雄
Lesen Sie 祭りの夜 (まつりのよる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.781 Zeichen · 20 Bildschirme
だが政代の方は、私が煙にむせようと、炭火の火花に眼を痛めようと、そんなことには一切無関心で、下らない話ばかりだ。でも私としては、いつもなにかよい香りを身につけてる彼女と口を利くのが、ひそかな慰安でないこともなかった。
彼女は私の雑仕夫的な仕事には無関心な代りに、いろいろな物をくれた。お留さんが持ってくる時は、奥さんからと言い漆える。自身で持って来る時は、何のこだわりもない自然な素振りと笑顔とを示して、私に辞退の気持ちなどは少しも起させない。いつしか私は、有難うと言う言葉さえも心の中では忘れがちになった。
いろいろな物が来た。魚肉や鷄肉や野菜は度々だった。缶詰や石鹸もあった。絹のハンケチは、私も少しもてあました。美しいウイスキーグラスは私の焼酎にはちと不向きだった。三味線の古い転手でわざわざ拵えさしたという象牙のパイプは、私の気に入った。純綿の単衣が、お寝間着にと届けられた時は、私はへんに惨めな気持ちになった。――私の方からは、何も彼女にしてやることがなく、時折、工事場から薪の束など持っていくぐらいなものだ。
旦那の八杉の姿を、私は見たことがない。