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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせんぜんじのことども

禅堂生活

鈴木 大拙

Lesen Sie 禅堂生活 (こうせんぜんじのことども) von 鈴木 大拙 (すずきだいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.634 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

郷に尊ばれずの習いを想い起さずにはおれぬ。これは敢えてその人を低うしようとて云うのではない、只その昔を偲ぶまでである。

こんなことを想い出しながら、そこはかとなく筆を運ぶと、隠寮から喚鐘の音がする。この音が亦感慨無量である。「ちゃん」と鳴ると鹿山の静かな天地に響きわたる、そうして無字で苦しんでおる胸の底へえぐるように徹って行く、その時の心持は何とも云えぬ。無慈悲な直日は、そんなことに頓著なく人を単から引きずり下ろす。今の浄智寺の和尚さんなどは随分こんなことして罪を造ったものである。こうなると摂心と云うものは戦場と等しい、一所懸命となって来る、学校の試験などと違って真剣勝負である。併し実際を云うと、一旦の見処を得てから後は、摂心でない方がよいかとも思う。勿論、初心の人にとりては、この摂心を何遍もやるに越したことはあるまい。

もう解定には間もあるまい。こんな下らぬ過去の追想に耽っておっても、余り功徳にもならぬ。窓を開けて見れば、月光水の如しである。月を見るたびに、かの李白の月下の詩を想い出す。その詩の月も今夜の月も同じ月であるが、これを見る人は、また昔時の人でない。