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Japanische Klassiker mit Furigana

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わたしのりれきしょ

私の履歴書

井上 貞治郎

Lesen Sie 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) von 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.380 Zeichen · 69 Bildschirme

Aozora Bunko

いまから思えば、この二畳の部屋が、私の第二の“母の胎内”だったのだろう。私はひとりの天地を楽しみ、これからどう踏み出せばいいか、香港から帰途の博多丸の船上で誓った成功のスタートについて思いをめぐらした。とにかく一意直往邁進すべきである。ひとよりいい商品を安く売ることだ。こうすれば金は自然にもうかる。金はもうからないのではなく、人がもうけないのだ。そして天からさずかった福運は絶対に自分のものとすること、つまり「握ったら離すな!」。また考えた、私は人に使われるのに適していない、第一、波を打っている世の中で、その波に乗るのは使われていてはだめだと。腕をこまねいて天井を見上げ、思索を続けていくと、おもしろいほど私の決意はまとまる。この二畳の座敷で考えたことは、いまにいたるまで一貫して変わらない。だから私にとって記念すべき、忘れがたい二畳の座敷だったのである。だがさてなにをやるべきか? 私は自分でこしらえ、自分で売ることをやろうと思った。

こんなとき私はふと、奉天で知り合った雑司ヶ谷の池田良栄をたずねてみる気になった。彼は当時善隣書院の中国語教師をしており、後には陸軍士官学校の教師にもなった男だ。