Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
彼が弟の豹変を知ったのは、備前福岡城にいたときだった。
つまり京都をあけていた留守中の出来事だったのだ。
それ以前に。
高ノ師泰は石見へ出陣していた。つづいて尊氏も師直と共に自身中国へ下向していたのである。――直義の失権に憤慨した養子直冬が、西国の叛意をかきあつめて、すてておけば大挙、京都へ攻めのぼって来そうな気勢に見えたからだった。
ここでも尊氏は、実の親を怨む子を戦野に捕えねばならない破目になっていた。尊氏は、直冬をとらえて、出家を命じようぐらいな考えでいたのだが、叛逆の子は猛って親の軍へさんざんに抗ッた。――そして戦いに破れると九州へ逃げ落ちてゆき、直義と仲のよい少弐頼尚のふところへ拠ってしまった。のみならず、西海の反師直がたも、みなその一幕下に凝集され、尊氏の意図は、かえって思いもしなかった自分からの離反者を漠々たる彼方に見出だす結果となっていた。
そんな軍旅の出先で、
「なに、直義が?」
と、彼は留守中の変に耳を打たれたのだった。「どんな事に会っても物に動じたことのない人」と夢窓国師も言った尊氏だが、はたしてこのさいどうだったか。子は親の敵をあつめて西に大敵国をつくり、弟は奔って南朝に降り、南朝の旗をかりて兄へ弓を引いて来たのだ。