Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
と一致して言った。
「もう、いいでしょう」
と、道誉は総攻撃の機と見て義詮にすすめた。
五月十一日の夜だった。
男山行宮をめがけて、足利勢万余の将士がときの声をあげた。ふもとの寺坊や社などを焼きたてたので、山はそのまま山なりの炎になった。後村上天皇は、北畠顕能、名和長重(長年の子)らにまもられて、からくも河内野へ逃げ走られた。――この夜また、お味方の熊野の湯河ノ荘司が寝返ったので、南朝方はいちばい混乱を大きくし、天皇についていた四条隆資、三条中納言、頭ノ中将且忠、参議ノ実勝など、みな途々、矢にあたったり名もない葉武者にかこまれて屍を野にさらしてしまった。
後村上天皇は、馴れぬ馬で、やっと、敗走兵の中に駈けまじりながら、朝がた、奈良まで来たが、
「みかどは?」
「天皇は」
と、ここで急に同勢がかえりみ合っても、どれが後村上やら分らず、やがてのこと、おん直垂のまま、鞍に錦で包んだ筥をお置きになっているのが、天皇だとわかって、初めて警固の隊を組むような有様だった。
それから先は、楠木正儀たちが守護して、ともかくお身だけは無事に賀名生へひきあげられたものの、なんと儚い京都還幸の希望だったことか。