Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
九州を捨ててさんざんなていで都へ帰って来た。
「義詮」
と、彼をよびつけて。
「これに教書の案文をしたためておいた。祐筆に命じて、同文の教書十数通をしたためさせ、そちが花押して、それに書上げておいた大名諸武士らへ、すぐ布令をまわせ」
「や。これは御出陣の」
「そうだ、わしみずから征く」
「いけません。お見合せください。義詮もすでに二十九。私が征きます」
「いや、九州の少弐、大友、島津。そのほかの古い輩も、多くはそちをよく知っていない。尊氏ならでは心を一つに集まるまい。わしがまいれば」
「ですが」
と、義詮は思いきって言った。
「ご健康があやぶまれます。さなくても、母上はそれをここ数年のお体によく見ていて、始終、お案じなのでございまする。どうぞ、御遠征のことだけは、時を見て、このさいはおとどまりを」
それは妻の登子も共に強って止めた。尊氏はなかなかきく風でなかったが、四月に入ってからすぐである。尊氏はついに倒れた。その夕、寝床につくなり登子へ悪寒を訴えて、子供のように彼女の腕にしがみついた。
灯が白く冴えて、病間は病間らしくない木ぐちの新しさと木の香だった。
旧高倉の将軍御所は義詮に渡して、二条万里小路に去年造営されたものである。