Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
いかにその旗かずや軍色が多かったかは、先ノ陣と後ノ陣との、割りあてをきめるにさいし、諸将の間で、クジ引きがおこなわれたというのでもわかる。まだ二十一と聞く花の如きみちのくの鎮守府将軍顕家の首、それを、われこそ挙げんと、みな競い合ったものだったろう。
しかし、顕家の首は、そうたやすくは取れなかった。
かえって、数日にわたる激戦の結果では、その逆が出た。一陣と一陣との駈け合せでも、一騎と一騎とのたたかいでも、断じて、みちのく勢が強い。
京都では、この敗報に、大動揺をおこして、一時は、西国落ちの評議まであったというが、これはうそである。――高ノ師泰が、急遽、加勢に向ったのはほんとだが、まだ、美濃平野の対峙だった、そこまでの狼狽などするはずがない。
むしろ、やがて、
「すわ、あぶない!」
と、自軍の立脚点に、恐怖したのは、顕家の方だった。
なぜなら、ただただ敵中を突破しつつ、長駆、これまで来たことなので、一時、敗散した東国の足利勢は、そのあとで勢いをもち返し、東海道を追跡して、いまやすぐうしろに迫っていたからである。
しかも、その追撃軍は、少数ではない。