Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
――こうする事三たび、地曳式と、師檀の誓いとが、すんだのだった。
けれど、ほんとの起工はこれからである。
ばくだいな人力と資財と金が要る。
「兵乱はまだやまず、人民は困窮のどん底にあるものを」
とは、叡山が攻撃理由としている第一の声だ。夢窓は、これにも一案を打ち出した。
「むかし、北条氏が建長寺の造営費をつくるために貿易船を出した例があり、かつては、後醍醐のきみも、住吉神社の造営費をまかなうため、住吉船を勅許されたことがある」
この先例をとって、尊氏へ、天龍寺船の計画をすすめた。――つまり元との交易を官営して、その利益で、一切の工事をまかなうというものだった。
翌年、初めて、第一回の天龍寺船が二艘海外へ出た。
ついで、翌々年も、数回にわたる交易がおこなわれ、海の彼方の文物が、俄に、都下をいろどりだした。
当然、海外との交易は、民間の市場にも活況を与え、官に入る利益も大きかったので、さしもの大工事も、いらい難なく進んで行った。それのみか、連年、戦争と破壊の中にあった一般のあいだには、かえって、諸職とも稼ぎがふえ、庶民はこれを、
天龍寺景気
と、よんだりした。