Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
そのほかの収入は博奕のハネだろう。近ごろ大流行の茶寄合、つまり闘茶、あれは茶の銘を飲みわけて、中った外れたと、一夜に数千貫のかねやら賭物をうごかす博奕だ。――そんな寄合やら、立花、聞香、田楽の会などが、彼の邸では月々何回も開かれているという。……遊び仲間はおなじ放埒仲間を決して悪くはいわぬものだ」
いつか道は六条らしい。
彼の輿は、ほどなく佐女牛の宏壮な邸内へ入っていた。師直は、みずみずと打水された前栽を見、家臣一同の色代(出迎え)をうけ、のっしのっしと、奥殿へ通って行った。
意外だった。
通されたのは一亭の釣殿で、かたのごとく酒肴は出たが、道誉好みの茶を強いるでもなく立花自慢や田楽舞の馳走でもないらしい。いつまでもそこはあるじの道誉とただ二人だけの秋の静夜だった。
「たまには、こんな夜もおよろしかろうと存じましてな」
道誉は言った。
あいかわらずこの若入道は艶かしい。あまり女色の外聞は聞かぬが、さぞ女にもてることであろうと、師直は身にひきくらべて羨望を禁じえない。いずれ唐物であろうが、師直すら知らないような綺麗な織物の袖なし羽織を、桔梗ぼかしの白綾の上へ、すずやかに羽織っていた。