Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうざんず
秋山図
Lesen Sie 秋山図 (しゅうざんず) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.580 Zeichen · 15 Bildschirme
煙客翁はまるで放心したように、いつまでもこの画を見入っていました。が、画は見ていれば見ているほど、ますます神妙を加えて行きます。
「いかがです? お気に入りましたか?」
主人は微笑を含みながら、斜に翁の顔を眺めました。
「神品です。元宰先生の絶賞は、たとい及ばないことがあっても、過ぎているとは言われません。実際この図に比べれば、私が今までに見た諸名本は、ことごとく下風にあるくらいです」
煙客翁はこういう間でも、秋山図から眼を放しませんでした。
「そうですか? ほんとうにそんな傑作ですか?」
翁は思わず主人のほうへ、驚いた眼を転じました。
「なぜまたそれがご不審なのです?」
「いや、別に不審という訳ではないのですが、実は、――」
主人はほとんど処子のように、当惑そうな顔を赤めました。が、やっと寂しい微笑を洩すと、おずおず壁上の名画を見ながら、こう言葉を続けるのです。
「実はあの画を眺めるたびに、私は何だか眼を明いたまま、夢でも見ているような気がするのです。なるほど秋山は美しい。しかしその美しさは、私だけに見える美しさではないか? 私以外の人間には、平凡な画図に過ぎないのではないか?――なぜかそういう疑いが、始終私を悩ませるのです。