Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あきぞらはれて

秋空晴れて

吉田 甲子太郎

Lesen Sie 秋空晴れて (あきぞらはれて) von 吉田 甲子太郎 (よしだきねたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.291 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「あっちの部屋を綺麗にしろよ」

「ようし、甲板掃除だ」

「あたち、水夫よ」

小さな弟や妹たちは急に元気になって、がやがや立ち上った。

しばらくぶりでこの貧しい家にも笑が帰って来た。病人はまだ眼尻に涙のたまったままの顔で、唇に笑みを浮かべていた。

「さア、お母さんも元気を出したと――、もう大丈夫ですよ。じきなおります。僕がきっとなおして見せます」

この一男の言葉が、母親には、医者に保証されたより頼もしく響いたのであった。

お膳が出るまでには父親も帰って来た。玄関兼居間の四畳半に、平吉と六人の子供たちが食卓を囲んで坐ると、船の食堂よりもっと窮屈だった。発育ざかりの弟や妹が次々に茶碗を突き出す様子は、出帆の準備をする時よりもっと忙しなかった。一男はその中で父から母親の病気の様子をきいた。

命には別状はあるまいが、長くかかるだろうという医者の見たてだった。寝てばかりいるせいか、物を食べたがらないのが困るということだった。

一男は、家へ送るほかに、小づかいを倹約して貯めておいた金を父親の前へおいた。今までは、医者のいう通りにもなかなか出来なかったらしい。

「これで出来るだけの養生をさせて上げて下さい」