Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅうふうき

秋風記

太宰 治

Lesen Sie 秋風記 (しゅうふうき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.011 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

Kも、私も、くたくたに疲れていた。その日湯河原を発って熱海についたころには、熱海のまちは夕靄につつまれ、家家の灯は、ぼっと、ともって、心もとなく思われた。

宿について、夕食までに散歩しようと、宿の番傘を二つ借りて、海辺に出て見た。雨天のしたの海は、だるそうにうねって、冷いしぶきをあげて散っていた。ぶあいそな、なげやりの感じであった。

ふりかえって、まちを見ると、ただ、ぱらぱらと灯が散在していて、

「こどものじぶん、」Kは立ちどまって、話かける。「絵葉書に針でもってぷつぷつ穴をあけて、ランプの光に透かしてみると、その絵葉書の洋館や森や軍艦に、きれいなイルミネエションがついて、――あれを思い出さない?」

「僕は、こんなけしき、」私は、わざと感覚の鈍い言いかたをする。「幻燈で見たことがある。みんなぼっとかすんで。」

海岸通りを、そろそろ歩いた。「寒いね。お湯にはいってから、出て来ればよかった。」

「私たち、もうなんにも欲しいものがないのね。」

「ああ、みんなお父さんからもらってしまった。」

「あなたの死にたいという気持、――」Kは、しゃがんで素足の泥を拭きながら、「わかっている。