Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめられたるそうわ
秘められたる挿話
松本 泰
Lesen Sie 秘められたる挿話 (ひめられたるそうわ) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.690 Zeichen · 18 Bildschirme
内儀さんは衣川と話をしている最中に衣川の部屋からマンドリンの音が聞えたなどと、馬鹿な事をいっているんですよ。ハッハッハ、尤も衣川自身も、自分が宿へ帰る前に誰かが自分の部屋へ入っていた形跡があるといって、それが犯人に違いないと申立てているのですがね。然し私は衣川が一旦家へ入って老婆を殺しておいて屋根伝いにお宅の裏庭へ下り、更に表通りへ廻って、荒物屋で不在証明を立てにいったものと睨んでいます。下駄が左右別ものであるという事は兇行後、戸締りをして表へ出るとき周章てて間違えて持って出たのです。それに衣川の袖に檜葉の枯葉が附着いていましたし、それからお宅の隣りの、屋根に接近した裏庭の檜葉の枝が折れていました。それで若しやお宅で何かの物音をおききになったか、或は衣川の姿でもご覧になりはしなかったかと思って、それを伺いに来たのです。それから一応御了解を得ておきたい事は、衣川が盗んだ金を、お宅の庭へ隠したかも知れないという疑いから、只今お宅の庭を捜査させております」といっているところへ、中野署から有吉刑事に電話がかかってきた。暫時席を外した刑事は、得意らしい微笑を浮べながら戻ってきた。