Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
と、黒い歯をむき出して愛想よく笑った。
「お前は、この村の酋長か?」
謙一がいうと、
「そうです……私たちは、日本の人たちの来るのを待っていました。私たちは、ながい間オランダの白人にだまされて来ましたが、こんどの戦争で、日本の神の兵隊が、空から白い馬に乗って、私たちを救いに来て下さったのを知って、この通り、みんなが大喜びをしています、ぜひ私の家へおいで下さい」
「いや、僕たちは、すぐここから出発するものだ」
「どこへ行かれてもかまいません、私の家へ一ど来て下されば満足です」
酋長はもう、先に立って歩きだした。
祥子は、酋長があまり愛想がよすぎるので、さっきから気味悪がっていた。
「さっきから、あの子たち、赤いつばばかり吐いてるわ、子供でも人を食べるんじゃないかしら」
英夫にそっと耳打ちした。
「祥子さん、知らないんだね、あれは檳榔子の実を噛んでいるからだよ、ほら、笑うとみんな真っ黒い歯をしているのは、檳榔子の実で染まったんだよ」
「まあ、そう! ちっとも知らなかったわ」
部落には、ところどころに椰子やバナナの樹が生い茂っていて、涼しそうな樹蔭に立膝に並んで、食事をしている一家もあった。