Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
「お前はなんだ?」
「へえ、あっしですか……」
人を小馬鹿にしたように、にやにやしながら、
「あっしは船乗ですよ」
「船乗……船員だな、どこの船へ乗っているんだ?」
「日本の船でさあ」
どんなもんだい――と、いわんばかりの誇らしげな口調だった。
「ふん、日本の船だと、お前は支那人だろう? 名前は何というんだ」
「趙全栄ってんですがね」
「船の名は?」
「九竜丸……アメリカの船だったが、日本軍に分捕られたんですよ」
「どんな仕事をやってるね?」
「火夫でさあ……怪しい者じゃあねえんだからいいかげんにしとくんなさいよ、インド人の旦那、この雨の中に、いつまで立たしておこうってんだね」
趙は凄い目つきで睨みつけた。――顎のところに生々しい傷痕があった。巡警は気味悪さにすこしひるんだが、
「まあ待て……どこへ行くんだ」
「目と鼻の先、香山飯店へ行くんだ。時化で船が出ねえから飯を食いに行こうってえのに何もいちいちとがめることはねえでしょう」
「その子供は船のボーイかね」
「まあそんなところだ……」
と、いったが、すこしあわてたように、
「あっしの身内の子供ですよ」
と、つけ加えた。
「よし、行っても宜しい」