Japanische Klassiker mit Furigana
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しんのしゅっぱつ
秦の出発
豊島 与志雄
Lesen Sie 秦の出発 (しんのしゅっぱつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.532 Zeichen · 29 Bildschirme
仲毅生は嘗て、秦啓源を訪れてきたことがある。二度目に来た時は柳丹永にもちょっと逢った。五分か十分かの短い訪問で、別に用向もなかったらしいが、張浩に逢いたがってる旨をほのめかした。彼奴、商取引の仲間にはいりたがってるようだ、と秦は笑った。――この嘗ての訪問を陳振東は思い浮べた。それが丹永の予見と結びついて、なにか脅迫的なものを彼に感じさせもしたらしい。
結果は奇怪な復讐となって現われた。――茲に前以て言っておこう。陳振東は二人の仲間を引き連れて、城内地区の裏町の薄暗がりで仲毅生を襲撃し、その左の耳を根本から削ぎ取ってしまった。
この陳振東の心理の動きや仲毅生襲撃事件は、小説的に叙述すれば大変面白い物語になる。然しそれはこの物語の主題と大して関係ないから止めよう。
さて柳丹永のことだが、彼女は午後の陽ざしを浴びて、中庭へ出る石段の上に佇み、数株の落葉樹の植込みを無心に眺めているうち、突然大声で言った。
「血の色見ゆ、血の色見ゆ。」
その言葉を彼女は意識して、恐怖に打たれ、室に戻ろうと振向いた。そこに、楊さんが、驚いて目を見張り口をあけて立っていた。
その腕に丹永はすがりついた。