Japanische Klassiker mit Furigana
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しんのゆうしゅう
秦の憂愁
豊島 与志雄
Lesen Sie 秦の憂愁 (しんのゆうしゅう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.389 Zeichen · 19 Bildschirme
その底には、別種の真剣さが籠っていた。
歩きながら彼は言った。
「一人が立ち止って空を仰げば、数人の者が立ち止って空を仰ぐ。
そのようなことが、この上海で見られますか。東京には共通の一般心理があるが、上海には個々の心理きりありません。共通の心理には共通の言葉がありますが、個々の心理には個々の言葉きりありません。中国ではまず、共通の言葉を作りだすことです。」
星野はただ漠然と、中国の統一国家とか、東亜の解放とか、思いつくままを呟いた。
「駄目です。」と秦は遮った。
彼は保甲青年団にも少し働きかけてみた。思わしくなかった。それから故郷のことに思いを馳せた。支那全土の耕地の三パーセントを占むると言われる墓地、到る所に見られる墓地のことが、新たな意味で頭に浮んだ。それから、天災や戦乱で流離常ならぬ農民のことが、新たに頭に浮んだ。
「土地です、土地に対する愛着です、大切なものは……。」と彼は星野に言った。
「多くの人がそれによって生きてる日本では、あなたには却って理解しにくいでしょう。」
「いや、分るよ、よく分る……。」
だが、星野の言葉は空虚な響きを帯びていた。
「私は旧弊なことを考えたものです。