Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほどよいひと

程よい人

豊島 与志雄

Lesen Sie 程よい人 (ほどよいひと) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.328 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は私の顔をじっと見た。

「会社のいろんな人から、お金を借りていらっしゃるでしょう。」

「ええ、借りてるよ。」

私は無雑作に頷いてみせた。

「それを、なぜ隠していらしたの。」

ばかげた問いである。人に金を借りてることなど、隠すも隠さないもない、どうでもいいことなのだ。わざわざ吹聴するほどのことでもないのだ。ところが、そうでないと彼女は言うのである。彼女のことで金がかかって困るのだったら、別れてもよろしいと、そんなことまで言い出す。どうも話の筋が通らない。

「君こそ、何か隠してるんだろう。」

突っこんでみると、彼女は打ち明けた。主任の戸田に呼ばれて、さんざん注意されたとのことだ。その戸田の説によると、私は数十人の者から莫大な借金をしていて、いつ破綻を来すか分らない状態にある。破綻を来して、どんな不正なことを働くか分らないし、どんな犯罪を行うか分らない。そういう男との交際は用心しなければいけない。殊に、そういう男から何等かの世話を受けてるとすると、これは一身の破滅になる。既にいろんな噂が飛んでいる。噂はまあ噂として、今後のことに気をつけ、立ち直る覚悟が肝要である。